日本初の本格的な戦術書
今年3月に日本語で書かれたシャンチーの本「シャンチー入門とその先へ」が出版されました!
この本は日本シャンチー協会理事長の中村千鶴さんが書かれた本で、約800ページにも及ぶとんでもない大作です!
一応「シャンチー入門」のタイトル通り最初はルール説明から書かれているのですが、メインは完全にその後の戦術部分(「その先へ」の部分)になっていて、開局~残局・殺法まで余すところなく詳しく解説してあります。また名局とされるプロの実戦譜の解説なども充実しており、上級者が読んでも非常に勉強になる内容です。
このような本格的にシャンチーを学びたい人向けに日本語で書かれた本は今までなかったので、日本初の本格的な戦術書と言えるでしょう。
この本はオンラインで紙の書籍と電子書籍の2種類で販売されています。
紙のほうは基本的にamasonでの受注販売のようで、タイミングによっては在庫切れと表示され入手までに時間がかかるかもしれません。
ちなみに著者の中村千鶴さんは国際大会の経験も豊富な日本の女性シャンチープレイヤーの第一人者です。xiangqimatesというサイトも運営されており、高い語学力を生かした中国プロ棋士へのインタビューなど、他では読めない面白い記事が掲載されています。
簡単な感想
よくこれだけの内容を書ききったもんだと読めば読むほど感心してしまいます。それだけ本当に内容が充実しており、中国で販売されている普通のシャンチー本3~5冊分くらいの価値は余裕でありそうです。そう考えると、一見尻込みしてしまう税込み約3500円(電子書籍ならもっと安いかも)という価格設定も、むしろ安いのではと感じてしまいます。
またこれはちょっとマニアックですが、個人的にこの本の凄い部分だと思っているのが「章立ての順番」です。ルール説明など本当の入門部分のあと、殺法⇒残局⇒開局⇒中局・・・という順番に解説が進みます。
普通は順序的に開局から始めたくなりますし、開局は読者にとっても内容的に取っつきやすく面白い部分です。しかし以前当サイトでも記事にしたように、シャンチーには実用残局の知識に戻づいた逆算の考え方が欠かせませんし、上級者になればなるほどそれを痛感します。
そのため恐らくそういったことを意識して、著者はより本質的な部分である残局を開局よりも前に持ってきているのだと推測しています。ただ前に持ってくると言っても、残局は量が多いわりに単調で読者が飽きやすい分野なので、なかなか勇気があるなあと感じました。
ここまで書いた内容からも分かるように、非常に本格的な戦術書なので、これからちょっとシャンチーを覚えてやってみたいという人にとっては内容が充実しすぎていて難しいと思います。そういった方には、おととし発売された所司さんの入門書がオススメです。
↓の記事で紹介しています。
最後に
いつか日本語で体系的にシャンチーを学べるようになったらいいなと思い当サイトを始めたのですが、管理人がサボっている間にそれを実現した素晴らしい本が発売されました!
この本のおかげで、今後日本人が中国語の書籍に一切触れずとも上級者になれる道筋ができました。この功績は非常に大きいと思います。
おととしの所司さんの本でシャンチーのすそ野を広げ、その中で本格的にやりたくなった人が今回の中村さんの本で勉強するという流れができれば、日本シャンチー界は少しずつ発展していき、未来は明るいものになるのではないかと期待しています!
コメント
この一冊を完璧にして実戦経験を積めば、将棋で言うと何級ぐらいになれますか?
恐らくアマ4~5段くらいまでは十分到達できると思います!