以前、開局入門の記事の中でシャンチーには様々な布局があることを紹介しました。
代表的なのは初手で砲二平五(砲八平五)と指す「中砲系」の布局、兵七進一(兵三進一)と兵を突く「仙人指路」、相三進五(相七進五)と相が上がる「飛相局」などです。
その後の変化で色々分類が変わることもありますが、シャンチーは基本的に初手で布局の種類が決まります。
つまり布局にある初手を指しておけば、その初手は悪手ではありません。
では逆に、やってはいけない最悪の初手はどの手なのでしょうか?
今回は「中国象棋云库查询」というデータベースサイトの数値を元に、やってはいけない初手ベスト3のランキングを作成しました。
ちなみにシャンチーの初手の選択肢は44種類あり、その中で左右対称を除くと23種類になります。
皆さんはどの手が最も悪い初手だと思いますか?
3位タイ 兵五進一
3位は2つ同スコアの手があったのですが、一つ目は「兵五進一」です。
この手は「ゴキゲン中飛車」という将棋の戦法をシャンチーにも応用してみようということで、ルールを覚えたばかりの将棋経験者が時々やってしまう一手になります。
ただ悪い点は明確で、次に黒が砲2平5(砲8平5)としたときに、中兵を守る手段がありません。よって次に砲5進3とせっかく初手で突いた中兵を取られてしまい、紅は早々に劣勢になります。
3位タイ 車一進一(車九進一)
3位の2つ目は「車一進一(車九進一)」です。
この手の悪い点も明確で、横にいる馬の根がなくなるため、黒に砲8進7(砲2進7)と馬を取られてしまいます。
ただこの手はランキングに入っている初手の中では最も実戦で登場する可能性が高い手で(それでも滅多にありませんが)、「鉄滑車」という名前が付いています。
ただ名前が付いているからといって正常な布局の定跡変化ということではなく、相手の精神的プレッシャーを与えることが主な目的のB級マイナー戦法です。
この「鉄滑車」については以前Xiangqimatesに詳しい連載があったので、興味を持った方はそちらも見てみてくださいね。
2位 帥五進一
2位は「帥五進一」です。
この手は帥の危険性が高まるだけで、メリットは何もありません。
よって救いようのない正真正銘の悪手で、堂々の2位ランクインとなります。
この手が良くないことについては以前の記事でも解説しているので、そちらもご覧ください。
1位 砲二進七(砲八進七)
記念すべき?第1位は「砲二進七(砲八進七)」です。
この手はルールを覚えたばかりの初心者の方が時々やってしまう手です。
ほぼ同価値の砲と馬の交換なので駒の損得という点では問題ないのですが、黒は車9平8(車1平2)と砲を取り返す中で自然とシャンチー最強の駒である車の活用の下準備ができます。
よって紅にとっては相手のお手伝いをしてしまう格好になるため、この手は悪手となります。
ランクインした手の中で一番初心者の方がピンと来ないかもしれませんが、
- 砲二進七 車9平8
- 馬二進三 砲8平7(下図)
と進んだ局面を見ると、右辺で黒は車が縦に使える一方、紅の車はまだ初期配置のままで使えません。こうしたことから、この局面では黒のほうが主導権を握っているということがなんとなく分かるのではないでしょうか?
最後に
いかがでしたでしょうか?
管理人としては予想通りで納得のラインナップだったな感じています。
今後さらに解析が進むとデータベースの数値も若干変動がありランキングが変わるかもしれませんが、今回紹介した初手が悪手であることに変わりはありません。
これらの手は初手だけでなく、開局段階において当面の間ずっと悪手である可能性が高いので、特に初心者の方はなぜ悪手なのかを知っておくと役に立つでしょう。