実用残局講座 「三兵対砲士象」

状況解説

今回解説するのは「三兵(3枚の兵)対「砲士象(守り駒は砲1枚と士1枚象1枚)」という状況の残局です。

これまでに紹介した「三兵対砲双士」は和の確率が高い残局、「三兵対砲双象」は高兵なら必勝の残局でした。

そして前回解説した「三兵対馬士象」は和の確率が高い残局でしたね。

これらの知識を踏まえて、今回の残局を考えて見ましょう!

なお三兵残局の解説記事は今回が9回目で、より大きな兵類の残局という枠で考えると、これが20回目の記事になります。

「そろそろ飽きたよ」と思われている方も多いかと思いますが、今回が兵類残局で最後の解説記事です。(細かく解説すれば他にもまだまだありますが・・・)

なので今回が最後の仕上げだと思って、張り切っていきましょう!

例題①

まずはこの局面を見てみましょう!

  1. 兵四平三 砲9進3
  2. 兵三進一 砲9平4
  3. 兵五平六 将5平6(和)

模範手順は3回合であっという間にになりましたが、前回の「三兵対馬士象」を覚えている方ならピンと来ましたよね。

これは黒が砲と紅の兵1枚を交換することによって、局面を「双兵対単士象」和の形に落とし込もうという指し方です。

例題①の場合、初手で紅がどう兵を動かしても交換を避けることができないので、黒はすぐに和に持ち込むことができます。

黒としてはこのような要領で常に交換を狙って指せば良いので、その守りをかいくぐって紅が勝つのは大変です。

そのため今回の「三兵対砲士象」は、前回と同様に和の確率が非常に高い残局とされています。

駒の価値を無視した交換は知っていないとなかなか指せないので、これを機に覚えておきましょう!

例題②

例題①は黒がすぐに砲兵交換をできる形でした。

ただ実戦はすぐに交換できる形ばかりではありません。

そこで例題①で学んだ知識を生かした練習問題として、例題②を考えて見ましょう!

  1. 兵三進一 将6退1
  2. 兵七進一 象3進1
  3. 兵三進一 象1進3
  4. 兵七進一 砲9進1
  5. 兵三平二 砲9進4
  6. 兵七平六 士5進4
  7. 帥六平五 砲9平1
  8. 兵五平六 砲1退4
  9. 兵二進一 将6進1
  10. 後兵進一 砲1進4
  11. 兵二平三 砲1平9
  12. 前兵平五 将6進1(和)

どうでしたでしょうか?

模範手順の中でポイントとなるのは大きく3カ所あります。

一つ目は三回合、紅が兵五進一と真ん中の兵を進めた場合です。

黒は象が端に上がって中央が薄くなったので、紅としてはこの瞬間がチャンスに見えますね。

ただこの場合にも、将6平5、帥六平五、士5退6、帥五平四(他だと象1進3から中央の兵が取られる。「双兵対砲単士」は必和)、砲9進2、兵五平六、士6進5、帥四平五、砲9平4、兵七平六、将5平4、兵六平七のような手順で進み、やはり「双兵対単士象」の和になります。

兵五進一と進んだ兵が逆に目標にされてしまい、攻撃は上手くいきませんでした。

二つ目は4回合、黒が砲9進1と上がった場面。

紅は次に兵三平二としましたが、敵陣中央から離れるのでできれば指したくないですよね。

ただここで他の手を指すと、士5進4か士5退4のいずれかで黒が横の砲の利きを通せば、兵が助からなくなってしまいます。

この筋(砲の使い方)はぜひ覚えておきましょう。

最後三つ目は、6回合で黒が士5進4と上がった場面。

ここでは士を取られても砲9退5で取り返せば大丈夫という考えから、士5退4が第一感だった方もいるのではないでしょうか?

実際に兵六進一、砲9退5の進行は和なので読みは間違っていないのですが、ここでは士を取らず兵五平四から攻めるのが紅の好手。

黒が同じように砲9平1から牽制をしても、以下兵四進一、砲1退4にここで兵六進一を士を取って右の兵を守り、あとは兵二平三からの簡単な詰みで紅の勝ちになります。

黒の心理としても士を上がるとすぐに狙われて取られそうなので悩ましいところですが、しっかり読みを入れて指すように注意しましょう。

まとめ

「三兵対馬士象」の残局は、

黒が正しく指せば和の確率が非常に高い

という結論になります。

実戦鑑賞

最後に、この形が登場した実戦例見てみましょう!

今回紹介するのは、2010年の中国甲級リーグ(楠溪江杯全国象棋甲级联赛)での対局です。

中国甲級リーグは今も続く中国最高峰の団体戦で、参加するのはどこのチームも名だたる強豪選手ばかりとなっています。

そして対局者は紅が黎德志さん、黒が谢岿さんです。

両者ともに現在も中国レーティングでトップ100に入っている非常にレベルの高い選手で、特に黎德志さんは以前日本代表チームのコーチをされていた関係で、日本人プレイヤーの間でも名前がよく知られている方ですね。

そんなお二人の対局は73回合で下の画像の局面になりました。

手番は紅で、ここから紅がどう和に持ち込むか皆さんも考えて見てください。

  1. 砲九進五 卒2平3
  2. 砲九平七 卒3平4
  3. 士六進五 象5進7
  4. 砲七平五 前卒平5
  5. 帥五進一 (和)

いかがでしたでしょうか?

紅は初手の砲九進五が重要な一手で、黒がゆっくりしていると砲九平一から左の卒(紅から見て)を狙いに行く手があります。

そこで黒は卒2平3としますが、すぐに砲九平一とせず一回砲九平七と卒取りをかけるのが上手い指し方。

黒は象5進3とはできないですし、卒3平2だと卒2平3の一手が丸々無駄になるのでここは卒3平4と中央に寄せていきます。

こうされると一見黒の攻めをお手伝いしてしまったように見えますが、ここで士六進五と卒の両取りをかけるのが和に持ち込む決め手の一手。

前卒平5で取れそうですが、士を取ると実戦の最終形のように和なので、一回象5進7と将の利きを通します。

しかし砲七平五と将の利きも遮断しておけば、依然必ずどちらかの卒が取れる格好。

他に手段がないので、黒が士を取って紅が取り返した場面で和が成立です。(このあと黒がどう指しても砲で将の利きを防いでおけば和)

記事の中で紹介した砲兵交換をして「双兵対単士象」に落とし込むやり方ではなかったですが、砲を上手く使った見事な指し回しでした。

皆さんにもぜひ参考にしていただきたいです。

スポンサーリンク



スポンサーリンク


error: Content is protected !!