ここまで4回の記事で「兵・卒」「車」「馬」「砲」の4種類の駒の動かし方を見てきました。
これらはいずれも自陣・敵陣の両方で活躍できる駒でしたが、これから見ていくのは自陣のみで活躍する駒です。
まずはシャンチーの王様である「帥・将」から見ていきましょう!
帥・将とは
帥(すい)と将(しょう)は、「紅だと帥、黒だと将」と名称が変わりますが、どちらも同じ動きをする駒です。
私はシャンチーを初めてしばらくの間ずっと間違えていたんですが、帥は「元帥」「統帥」の「帥」であって、「師範」や「師匠」の「師」はないのでご注意ください。
「帥」「師」は非常に良く似ているので、棋譜を書くときなどに間違いないようにしましょう。
少し話が脱線しましたが、帥と将はシャンチーにおける王様です。
なので帥と将はシャンチーをする上で最も大切な駒ということになります。
ゲーム開始時には、互いに下段中央に配置されています。
王様なので、もちろん枚数は互いに一枚ずつです。
帥・将の動き方
それでは「帥・将」の動き方を見ていきましょう。
帥・将は下の画像のように、上下左右に一歩ずつ進むことができます。
ここまでは簡単ですね。
ただ帥・将には移動できる範囲に制約があるんです。
以前紹介した「九宮」を覚えているでしょうか?
シャンチーの盤面に斜め線加わった部分で、例えるなら城や宮殿です。
この範囲内には全部で9地点(9つの交点)があるんですが、実は帥と将はこの範囲の外に出ることが出来ないんです。
下の画像をご覧ください
本来の帥の動きからすれば、左と上(×印)の地点にも行けそうですが、九宮の外になってしまうので移動することができません。
また右には紅の砲がいるので、この場合に移動できるのは下矢印の1地点のみとなります。
帥と将は直接向かい合えない
帥と将には他にも特殊な制約があります。
それは「直接向かい合えない」ということです。
これだけでは分かりにくいと思うので、下の画像をご覧ください。
帥は本来の動きからすると左(×印)の地点にも移動できそうですが、将と直接向かい合ってしまうためできません。
つまり縦の列で見たときに帥と将が一直線に並ぶには、あいだに他の駒を挟まないといけないんです。
たとえば下の画像では、帥と将の間に紅の兵がいるので、帥と将は縦の列で一直線上に両方いても問題ありません。
ただこの場合、河を渡った(敵陣に入った)紅の兵は本来動けるはずの左右に動くことはできません(動くと帥と将が直接向き合ってしまうため)。
またシャンチーの初期配置を見ても、帥と将は縦の列の一直線上に両方いますが、間に駒がいて直接向き合うことを防いでいることが分かりますね。
このルールは他のボードゲームにはあまり見られないシャンチー特有のもので、慣れるまでは難しいかもしれません。
ただこの制約によって、時には九宮を出られない帥が相手の将の動きを制約する攻め駒になったりするなど、シャンチーならではの面白さや難しさを生み出しています。
帥・将の駒の取り方
帥・将も他の駒と同様に、移動できる地点に相手の駒があった場合にはその駒を取ることができます。
ですが帥と将の場合には制約があり、駒を取った時に帥や将が「取り返されてしまう場合」「帥と将が直接向き合ってしまう場合」には駒を取ることができません。
上の画像では、一見すると帥は黒の砲と馬をどちらでも取れそうです。
ですが砲を取った場合には黒の車で帥が取り返されてしまいます。
王様である帥が取られてはゲームセットなので、ここでは砲は取れず、取っても取り返されない右側青丸で囲った馬のみが帥の取れる駒となります。
駒を取った場合は、帥は取った駒の位置(この場合は黒の馬の位置)に移動します。
もちろん駒を取らずに上に移動することもできます。
さらにもう一つ下の画像を見てください。
一見先ほどの画像と同じに見えますが、黒の車がいなくなったので帥で砲を取っても取り返されることはありません。
しかし砲を取ると今度は黒の将と直接向き合ってしまうので、今回のケースでも黒の砲は取れず、取れるのは右側青丸の馬だけとなります。
ここまで説明してきましたが、帥と将は他の駒に比べてルールが多いので少し難しく感じたかもしれません。
ただ駒の動き自体は単純なので、ルールを理解して何回かシャンチーを指せば自然と要領がつかめると思います。
なので心配せず次に進みましょう。