この記事ではシャンチーの千日手(繰り返し手順)について説明します。
基本的なルールはこれまでの記事で全てお伝えしたので、「こんなこともあるのか」くらいに思ってもらえれば大丈夫です。
それでは早速見ていきましょう!
千日手とは?
千日手とは、紅黒双方が同じ手順を繰り返すことによって、対局が進まなくなってしまう状況のことを言います。
たとえば下の画像から、
- 前車進二 車7退1
- 前車進一 車7進1
- 前車退一 車7退1
- 前車進一 車7進1
- 前車退一 車7退1
- 前車進一 車7進1
- ・・・・・・
このように進むと、双方同じ手順を繰り返しているだけで対局が進んでいないことが分かると思います。
こうした状態が千日手です。
千日手という言葉自体はおそらく将棋用語ですが、シャンチーで繰り返し手順を総称する言葉が分からなかったので、当サイトではこの言い方を使用しています。
実はシャンチーの千日手はかなりくせ者で、状況によって反則負けになる場合と和になる場合がありけっこう複雑です。(ちなみに上の画像の場合は和です)
最初から完璧に理解しようとするとシャンチーが嫌いになってしまうかもしれないので、ここでは対局する上で重要な最低限のルールだけ紹介したいと思います。
なお当サイトでは、世界シャンチー連合会と中国シャンチー協会が定めた公式ルールに基づいて紹介します。
同一手順でのジャン(王手)の連続は反則負けに
同一手順でのジャン(王手)の連続は、行ったほうが反則負けになってしまいます。
ただし同じジャンの連続でも、それが同一手順でなければ何度繰り返してもかまいません。
たとえば下の画像から、以下のように対局が進みました。
- 車四平五 将5平6
- 車五平四 将6平5
- 車四平五 将5平6
- 車五平四 将6平5
- 車四平五 将5平6
- 車五平四 将6平5
- ・・・・・・・
この場合、紅は車で同じ手順でジャンの連続をひたすら繰り返しているだけなので、反則負けになってしまいます。反則負けにしないためには、紅は途中で手を変えなければなりません。
駒を取るぞ(1枚)の繰り返しは反則負けに
相手の一枚の駒を取るぞ取るぞと追いかけ回すのは、反則負けになってしまいます。
たとえば下の画像から、以下のように進みました。
- 砲九平八 車1平2
- 砲八平九 車2平1
- 砲九平八 車1平2
- 砲八平九 車2平1
- 砲九平八 車1平2
- 砲八平九 車2平1
- ・・・・・・・
この場合、黒は紅の砲を取るぞ取るぞと同じ手順で追いかけ回しているだけなので、反則負けになってしまいます。反則負けにしないためには、黒は途中で手を変えなければなりません。
ただ例外として、相手の2枚の駒を同時に追いかける場合は和になります。
例えば下の画像は先ほどと似ていますが、右端に紅の兵がある点が違います。
ここから以下のように進みました。
- 砲九平八 車1平2
- 砲八平九 車2平9
- 兵一平二 車9平8
- 兵二平一 車8平1
- 砲九平八 車1平2
- 砲八平九 車2平9
- 兵一平二 車9平8
- 兵二平一 車8平1
- ・・・・・・
今回は黒は紅の砲と兵の2枚の駒を取るぞ取るぞと追いかけ回しています。
なのでこの場合は双方指し手を変えない場合、和として決着します。
実はこれ以外にも細かいルールや例外があったりするんですが、ややこしくなるのでまた別の機会に千日手辞典のような形でまとめて紹介できたらと思います。
そんなに頻繁に起こることでもないので、初心者の皆さんは「1枚の駒を追いかけ回すのはダメ、2枚だと和になる」と頭の片隅に覚えておいてください。
ジャンと殺(詰めろ)の繰り返しは和に
殺(さつ)は日本将棋で言うところの「詰めろ」のことで、次に何もしなければ詰んでしまう状況のことを言います。
たとえば下の画像では、次に車三進四とすれば黒は詰みになってしまいます。
こういう状況のことをシャンチーでは殺と言います。
そしてここからが本題ですが、殺を逃れたい黒と詰ましたい紅の対局(上の画像)が以下のように進みました。
- 将5平6
- 車三平四 将6平5
- 車四平三 将5平6
- 車三平四 将6平5
- 車四平三 将5平6
- 車三平四 将6平5
- 車四平三 ・・・・
紅は一手ごとにジャンと殺を繰り返していますが、この場合は反則ではなく和になります。
先ほどジャンの連続は反則だとお伝えしましたが、今回は連続ではなく一手おきなので反則負けにはならないんです。
この違いは大きいので、ぜひ覚えておいてください。
以上で千日手の基本ルールについては説明終わりです。
まれに現れる細かい事例を含めるとまだまだ説明不足ではありますが、初心者の皆さんはとりあえずこの記事で説明したことだけ覚えておけば、対局中困ることはまずないでしょう。