布局紹介①中砲系「順手砲」「列手砲」

前回の記事では開局の基本的な考え方についてお伝えしました。

今回からは具体的にシャンチーにどんな布局(定跡)があるのかを紹介していこうと思います!

まずは中砲系の布局について見ていきましょう!

シャンチーの初手は中砲が多い

今回と次回で中砲系の布局について紹介しますが、まず中砲(ちゅうほう)とは何かということを最初にお伝えしようと思います。

中砲とは初手で真ん中の列に砲が回る手のことで、棋譜で言うと砲二平五です。

シャンチーは左右対称なので砲八平五でも同じですが、当サイトでは砲二平五で統一します(実戦例も大半が砲二平五です)。

実はこの砲二平五(砲八平五)はシャンチーの初手の中では昔から断トツ人気で、プロレベルで50%超、アマチュアだとそれ以上に良く指される指し手です。

なぜそんなに人気があるかというと、中砲という戦術が相手に攻勢をかける上で最も力強く、なおかつ分かりやすい指し方だからです。

なので当サイトでも、初心者の方はまず中砲から覚えることを推奨しています。

少し具体的に見ていきましょう。

たとえば前々回の記事でも少し紹介しましたが、もし初手で砲二平五のあとにもう一度紅が指せるとしたら、次に砲五進四とします。

こうなると黒は士や象が全く中央に上がれなくなってしまい、非常に指しづらくまた危険な状態です。(ちなみにこうした状態を空心砲と言います)

どれくらい危険かをお伝えするために、黒が気にせず指し手を進めた一例を挙げましょう。

上の画像の局面から

  1. ・・・・ 馬2進1
  2. 砲八進二 車1進1
  3. 砲八平五 紅勝

紅は2枚の砲を中央に並べて、後ろの砲でジャンをかけました。

黒はジャンを回避しないといけませんが、本来なら上がれる士や象が紅の前の砲に牽制され上がることができません。従ってこの局面、黒はジャンの回避の方法はないんです。

対局開始から数手しか進んでいませんが、黒はあっという間に詰んでしまいました。

ちょっと極端な例ではありましたが、中砲の威力が伝わったでしょうか?

今回あっという間に詰んでしまったのは、黒が2手目に空心砲という危険な状態になるのを防がなかったのが大きな原因です。

これから紹介する中砲系の布局は、紅の砲二平五に対してどのように中央を守り空心砲になるのを防ぐかによって大きく分類されます。

順手砲

順手砲(じゅんしゅほう)は、紅の砲二平五に対し黒が砲8平5とする指し方です。

ちょっと省略して順砲とも呼ばれます。

紅の中砲に対し黒も同様に中砲にすることで、もし紅が次に砲五進四とジャンをしても黒はどちらかの士を上げて回避することが出来ますね。これで危険な空心砲にならずに済むというわけです。

この戦い方は非常に歴史が古く、中国の明の時代(1368年~1644年)には既に体系化されていたようで、その内容は「橘中秘(きっちゅうひ)」という書物にまとめられています。

この時代から今に至るまでずっと指し続けられているってのは凄いことですよね。

順手砲は互い中砲なので攻め合いになりやすく、一手を争う激しい戦いになりやすいのが魅力です。

また順手砲の布局を大きく分けると2つに分けられます。

一つは、紅が直車、黒が横車にする順手砲直車対横車です。

  1. 砲二平五 砲8平5
  2. 馬二進三 馬8進7
  3. 車一平二 車9進1
  4. 馬八進七 車9平4(下の画像)

もう一つが上とは逆に紅が横車、黒が直車とする順手砲横車対直車です。

  1. 砲二平五 砲8平5
  2. 馬二進三 馬8進7
  3. 車一進一 車9平8
  4. 車一平六 車8進4(下の画像)

どちらも有力な指し方ですが、実戦例は紅が直車にする形の方が多いです。

ただ最近の研究では、順手砲はどの変化も少し紅が良いとされていて、プロレベルの対局だと順手砲はあまり見かけなくなってしまいました。

非常に歴史ある布局なので少し残念な気がしますが、こればっかりは仕方ないですね。

ただそうは言ってもわずかな差なので、アマチュアの対局では今でも良く指されています。

シャンチーの基本とも言える有名な布局なので、ぜひ皆さんに興味を持って使って頂きたいです。

列手砲

列手砲(れっしゅほう)は、紅の砲二平五に対し黒が砲2平5とする指し方です。

これもちょっと省略して列砲とも呼ばれます。

順手砲と似ていますが、黒の動かす砲が違いますね。

列手砲も順手砲同様に非常に歴史の古い布局ですが、順手砲の亜種といった印象(私が思っているだけかも)で、実戦例も順手砲に比べるとかなり少ないです。

これもお互い中砲なので激しい戦いが魅力の布局ですが、順手砲以上に紅が良くなりやすいようで、実戦例も紅の勝率がかなりいいです。

なのでアマチュアの対局ではたまにみかけますが、プロ同士(特にトッププロ)では滅多に見かけない布局になります。

ただ紅に一手でも甘い手が出ると黒に大きく勝つチャンスが出るので、全く使えない布局という訳では全くありません。

珍しい分だけ研究している人も少ないので、切り札として列手砲を研究しておくのも面白いと思います。

一応最後に列手砲の出だしで多い形を載せておきますので参考にしてくださいね。

  1. 砲二平五 砲2平5
  2. 馬二進三 馬2進3
  3. 車一平二 馬8進7
  4. 馬八進七 車1平2(下の画像)

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