中局この一手③「好調に見える紅を襲った悪夢」

局面紹介

今回は1994年に中国で行われた全国象棋团体赛という大会で登場した局面を紹介します。

紅が葛维蒲さん、黒が袁洪梁という二人の対局です。

二人とも知らなかったので簡単に調べてみると、紅の葛维蒲さんは上海の大師の方、黒の袁洪梁さんは天津の強豪の方ということが分かりました。

そもそも中国の全国シャンチー団体戦に出場している時点でかなり強いのは確実です。

実は先日私が指した対局を観戦してくださった方から、「この場合はこんな変化がある」と教えて頂き、調べてみるとこの棋譜に行き着きました。

実に見事な手順だったので、このサイトでも紹介させて頂きます。

問題の局面は13回合で手番はです。

紅は相を一枚削られたものの駒の配置が良く、今黒の馬7進6に兵五進一と強く反発したところです。好調に見える紅ですが、このあと悪夢が襲います。

この後の黒の一手を皆さんもぜひ考えて見てください。

解説

正解は「砲8平7」です。

この手は一見車二進三と黒は車がタダで取られてしまいますが、次に砲7進4とした手が砲7進3の殺と砲7平2の車取りを同時にかける絶好手で、黒は車を取り返すことができます。

またただ車を取り返すだけでなく、1路の砲、4路の車と連携することで夾車砲の殺法が可能になり、紅陣はたちまち危険になってしまいます。

ということで実戦は車二進三ではなく車二平三と砲の利きを止めながら交わしたんですが、車8進3が強烈な後続手。

砲を取ったら馬6退7で駒損なので、紅は仕方なく車三平二と車を取りましたが、やはり砲7進4から砲7平2と車を取り返され、実戦はこのあと数回合で夾車砲による詰みとなってしまいます。

最後に

この手順にはシャンチーの華々しさ、楽しさ、怖さなど色々詰まっているなと感じています。

実際砲8平7の妙手がなければ、あの局面では黒がどう指しても紅優勢の展開です。

紅の葛さんもまさかこんな手順があるとは夢にも思わなかったことでしょう。

真剣勝負の中で生まれるこのような妙手は非常に面白いと思うので、今後も発見次第紹介できればと思います。

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