前回の記事では、「仙人指路」と「飛相局」を紹介しました。
今回も引き続き非中砲系の布局を見ていきましょう!
過宮砲
過宮砲(かきゅうほう)は、紅が初手で砲二平六(砲八平四)と指す布局のことを言います。
左右対称なのでどちらの砲が動いてもいいですが、当サイトでは実戦例が多い砲二平六で紹介していきます。
この手は中砲から一つ列を左にずらしたことで、将来的に相が中央に上がって連携できる余地を残しています。
攻撃力の面ではやはり中砲に劣りますが、全体のバランスを重視した指し方です。
前回紹介した仙人指路や飛相局と比べると実戦例は少なめですが、プロの対局でも時々採用される有力な布局です。
これに対する黒の指し方はいくつかありますが、中砲で対抗した形をここでは紹介します。
- 砲二平六 砲8平5
- 馬二進三 馬8進7
- 車一平二 車9進1
- 馬八進七 車9平4
- 士六進五 馬2進3
- 兵七進一 卒5進1
紅が直車、黒が横車にしてそれぞれ車を戦線に移動させたあと、黒が中卒を突いて攻撃を見せた場面です。
このあと紅が攻撃をどう受け止めて、上手く反転攻勢をかけるかがカギになってきます。
この過宮砲という布局は、おそらく仙人指路や飛相局よりも駒組みという点においては分かりやすいかと思います。
ただバランス重視で砲二平六自体に明確な目的がないので、中盤以降どう指して良いか難しい布局でもあります。
その点あまり初心者向きではないですが、興味を持った方は一度試してみるのも面白いでしょう。
士角砲
士角砲(しかくほう)は、紅が初手で砲二平四(砲八平六)と指す布局のことを言います。
これも砲二平四のほうが多いので、こちらで統一して表記します。
この士角砲は砲を中砲から一つ右にずらした形で、先ほど紹介した過宮砲の兄弟みたいな布局です。
こちらも相が中央で連携する余地を残し、バランス重視の指し方になります。
過宮砲との違いに関しては難しく、私自身そんなに大きな差はないのではないかと思っています(多少駒組みの仕方が違う程度)。
過宮砲と士角砲の明確な優劣はないですが、実戦例は過宮砲の半分程度と少なく、プロの対局でもたまに見かける程度です。
なので重要度はそんなに高くない布局にはなりますが、一応参考までに出だしの一例を紹介しておきます。
- 砲二平四 卒7進1
- 馬二進一 馬8進7
- 車一平二 車9平8
- 車二進六 砲8平9
- 車二平三 象7進5
- 馬八進七 馬2進1
起馬局
起馬局(きばきょく)は、紅が初手で馬八進七(馬二進三)と上がる布局のことを言います。
これも馬八進七のほうが実戦例が多いので、こちらで統一して紹介します。
この起馬局(馬八進七)は、シャンチーの攻め駒の一つである馬を動かすという点においては自然な一手です。
ただこの手自体にはあまり脅威や迫力がなく、どちらかと言うと守備的な布局という印象があります。
また紅には中砲などにする余地もあるため、その後の展開次第では他の布局と合流する可能性もあります。
この起馬局の布局はアマチュアではあまり見かけない印象がありますが、プロの実戦では時々採用されています。
勝率を見ても紅黒でそれほど大差はなく、全てはその後の展開次第といった感じです。
この起馬局に対し、黒は卒3進1と馬の動きを早速封じて紅の指し手をとがめにいくのが多い指し方です。
最後にこの出だしの一例を紹介しておきます。
- 馬八進七 卒3進1
- 兵三進一 馬2進3
- 馬二進三 車1進1
- 車九進一 車1平7
- 砲八進四 卒7進1
- 砲八平七 卒7進1
- 砲七進三 士4進5
非中砲系布局まとめ
ここまで「仙人指路」「飛相局」「過宮砲」「士角砲」「起馬局」と5つの中砲以外の始まり方をする布局を紹介しました。
もちろんこれらの中には、結果的に紅が中砲にして中砲系布局に合流するものもあります。
ただ全体的に非中砲系布局に対し言えることは、中砲の時と違い紅の指し手が黒の指し手を限定するものでないということです。
そのため変化が多様になりやすく、また落ち着いた戦いになりやすくなります。
こうした布局を指しこなすには、ある程度の実戦経験と中盤・終盤の力が必要です。
そういった意味では非中砲系布局は上級者向きと言っていいでしょう。
なので当サイトでも、初心者はまず中砲系布局から勉強することを推奨しています。
中砲を使いシャンチーの戦い方に慣れてから、もし興味を持てば非中砲系の布局にもチャレンジしてみてください。
そうすると開局の幅が広がり、シャンチーがより面白くなるでしょう。
コメント
シャンチーのサイトを探していました
丁寧な解説ありがとうございます