前回の記事では「馬」の動かし方について学びました。
次は「砲」について見ていきましょう。
砲とは
「砲」は日本語で「ほう」と呼ばれています。
これも駒によっては石偏でなく火偏であったり、そもそも偏がなくただの「包」であったりさまざまですが、どれも動かし方は同じです。特に気にする必要はありません。
なおこのシャンチー研究所では石偏の「砲」で統一して表記しています。(火偏の「炮」は「ほう」で変換しても出てこないため)
画像の駒の表記とは異なってしまいますが、ご了承ください。
砲はゲーム開始時は紅黒それぞれ2枚ずつ配置されています。
砲の動き方
それでは「砲」の動き方を見ていきましょう!
砲は周りに何も駒がない場合、下の画像のように動きます。
「あれっ」と思ったでしょうか?
実はこの動きは以前紹介したシャンチー最強の駒「車」と全く同じ動きなんです。
「なんで同じ動きの駒が別にあるの?」と思われたかもしれませんが、実は砲と車の違いは基本の動き方ではなく、「駒の取り方」にあるんです。
砲の駒の取り方
砲の駒の取り方は少し特殊で、一つ駒を飛び越えて二つ目の相手の駒を取ることができます。
この説明だけだとピンとこないと思うので、下の画像をご覧ください。
中央に紅の砲が居ますが、この砲が取れる駒は青丸で囲った3つの黒の駒です。
それぞれ車の手前には紅の兵、象の手前には紅の馬、卒の手前には黒の馬がおり、一つ駒を飛び越えて二つ目の相手の駒が取れるようになっていますね。
象の後にいる「士」は三つ目の駒なので取れませんし、下のほうにいる黒の砲はもし「車」だったら取ることが出来ますが、砲の場合は間に何も駒がいないので取ることができません。
また一個駒を飛び越えて進む場合は相手の駒を取るしかなく、その手前(画像の×印の地点)に移動することはできません。
もちろん駒をとらずに単に移動することも可能です(画像の赤矢印)
初手で駒が取れる
砲の動きを理解すると、勘のいい人ならあることに気づくかもしれません。
それはシャンチーでは初手で駒が取れてしまうということです。
以前紹介したように、シャンチーでは紅が必ず先手(先に動かす方)です。
なので紅が最初に何を動かそうか考えたときに、どちらの砲でもそれぞれ黒の馬が取れてしまうことに気づくと思います。
上の画像の赤丸が紅の砲、青丸が取られてしまう黒の馬です。
その間に黒の砲がいるので、黒の馬がちょうど紅の砲から見て2つ目の相手の駒になってしまっていますね。
ただ実際にはすぐに黒の馬の隣にいる車で紅の砲を取り返されてしまいます。
また相手の車を動きやすくしてしまい形勢的にも紅にとって良い手ではないので、実戦では滅多に指されることはありません。
しかしながら、将棋やチェスと比較しても初手で駒が取れるのはシャンチーだけで、この砲の動きがシャンチー特有のアクロバティックで華々しい戦いを演出しています。
最初のうちは砲の動きに戸惑うかもしれませんが、慣れてくるとだんだん面白さが分かってくると思いますよ。